今年の 2 月、不適切なコメントから子どもたちを守るため、YouTube は子どもが出演する大多数の動画に対する
コメント機能を無効化しました。この措置は、自ら積極的にコメントを確認し、子どもたちへの搾取のリスクを減らしている一部のチャンネルを除き、ほとんどのチャンネルに適用されています。私たちは、クリエイターにとってコメント機能が不可欠であることを理解しています。ファンとの交流、フィードバックや今後の動画の方向性の決める上で、コメントは大きな役割りを果たしています。これは、クリエイターの皆さんから日々寄せられるコメントからも明らかです。もちろん、今回の措置が、ルールに沿って動画投稿を行っているクリエイター(プロのクリエイター、若いクリエイター、子どもたちのために動画を投稿する保護者など)に影響が及んでいることを私たちは理解しています。しかしながら、YouTube では子どもたちを守ることが最も大切であるべきで、その為にはこの措置を行う必要があると判断しました。
その翌月、私たちはニュージーランドの惨劇を受け、暴力的なコンテンツを直ちに削除するために、前例の無い対応を即座に取りました。暴力的な映像を映す大量のコンテンツに対処するため、一時的にいくつかのプロセスや機能を無効化しました。結果として、一部のニュースや解説動画など、実際にはコミュニティ ガイドラインに違反していない動画も非表示になりましたが、投稿者の再審査請求を受けて再表示されるまでの間、非表示となっていました。この措置も、リスクを踏まえた上で必要と判断した結果です。先日のスリランカのテロにおいても、YouTube のチームは、 24 時間体制で暴力的なコンテンツを削除するよう努めました。いずれのケースでも、YouTube のシステムは信頼性の高いメディアからのニュースに焦点をあて、ヘイトスピーチや虚偽の情報の拡散を防いでいます。
この問題は、ここ数ヶ月ワシントンやアジアに訪れた際に会った政府や報道機関、ブランド、広告主にとっても重要な課題として指摘されました。私は、そういった指摘に対して、 YouTube の責任を明確にし、クリエイター が持つ素晴らしい才能と地域に与える経済効果の重要性を強調しました。クリエイターの皆さまが数百万のチャンネルを作成し、人々の心に深く訴えかける動画を投稿することで、現代のメディア状況を変革させています。また、クリエイターが生み出す動画は、人々の生活に影響を与えるだけでなく、新しい仕事や次世代のメディア企業をつくっています。
2. クリエイターとアーティストの成功を支援する私は、常に行く先々でクリエイターの皆さんとお会いしたいと思っています。実際、先日も日本やインド、韓国、アメリカで多くのクリエイターと会い、率直な意見交換しました。クリエイターの皆さんが YouTube と深く関わっていることを知ることは、常に新鮮で貴重です。
こうした話し合いから受けるクリエイターの皆さんからの意見は非常に重要です。最優先の課題は、コミュニティ ガイドラインと広告主のためのポリシーをより明確にし、収益化と YouTube のおすすめ動画のシステムを分かり易くすることです。急上昇タブに表示されるクリエイターに関しても、よりわかりやすい表示方法が求められています。また、数秒や一瞬しか映っていない映像に対する著作権申請や、クリエイター間での迷惑行為など、対処すべき問題は他にもあります。
私は、これらの問題にひとつずつ対処していきたいと考えています。まず、クリエイターが自身のコンテンツに対して最適な判断を下せるよう、ポリシーに細かい規定を加える予定です。試験的に導入している Self Certification は、そうした取り組みの重要性を示す例です。このプログラムでは、クリエイターは自分の動画が広告ポリシーに準拠しているかどうかを自己申告し、信頼性を高めることで Google のシステムに適応させることができます。これにより、クリエイターは YouTube のガイドラインをより深く理解することができ、私たちはクリエイターや広告主に向けてより明確な指針を示すことができるようになります。このプログラムは、現在 1000 以上のチャンネルに試験的に適用されており、今後はより多くのチャンネルに向けて展開できればと考えています。収益化に関しては、広告に適したガイドラインの分類の精度を高めることに引き続き注力します。私たちは、これがすべてのクリエイターにとって重要であることを理解しています。今年 1 月以降、分類の精度はすでに 25% 向上しています。
急上昇タブに関しては、ユーザーに見られている動画が反映されていない、同じクリエイターが何度も登場しているという意見もありますが、急上昇タブには幅広い層の視聴者が面白いと思う動画を紹介しています。そのため、これらの動画の安全性には特に注意を払っており、冒涜的な表現や成人向けコンテンツを含まないようにしています。対象動画は、視聴回数が増える速度を表す「温度感」の計算に基づいてランク付けしていますが、私たちはこの機能をよりクリエイターに焦点を当てた形へと進化させたいと考えています。現時点の目標としては、急上昇タブで紹介する動画の半分をクリエイターによる動画、残りの半分を音楽やメディア関連の動画にすることを目指しています。この目標はすでに達成されつつありますが、引き続き取り組みを続けていきます。同様に、「急上昇クリエイター」および「急上昇ゲームクリエイター」に関しても強化を続けます。
手動申し立てツールが、例えば動画内で音楽を再生している店舗の前を通り過ぎるといった、非常に短い (場合によってはほんの 1 秒程度) ケースに対しても適用されているといった問題も報告されています。この問題に関してはすでに対応を始めていましたが、実際にクリエイターからの声として問題提起を受けたことは大きな意味を持ちます。YouTube では、著作権所有者とクリエイターの要望の正しいバランスを取ることができるよう、改善を続けます。
そして最後に、クリエイター間におけるハラスメントに関しても真摯に取り組みます。他のクリエイターからの建設的な批判は時として有用ですが、脅迫や個人情報の公開は一線を超えています。そうした行為は YouTube では禁止していますが、YouTube でこのような行為を減らすため、今後も注力していきます。
YouTube では、より多くのクリエイターがファンを獲得できるように NextUp プログラムを拡大しており、新たにジャカルタとロンドンでも開催しました。このプログラムでは、クリエイターだけでなく世界中のアーティストも参加しています。
また、日本、インド、アルゼンチンで YouTube Music を提供開始したことで、世界中のミュージシャンが新たなファンを獲得しています。無料で音楽体験を楽しめる YouTube Music アプリは、今後世界 43 カ国での提供を予定しています。
一方、EU がすでに承認した著作権指令第 17 条(旧第 13 条)については、問題提起を続けています。YouTube は、現在大多数のレコード会社や放送局とライセンス契約を結んでおり、著作権保有者の権利を尊重していますが、新指令の曖昧かつ未検証の要件には問題があると考えています。新指令により、クリエイターが投稿できるコンテンツが大きく制限される可能性があります。これは、YouTube が従来のメディアやレコード会社にもたらす収益を減少させ、YouTube で収入を得ている EU のクリエイターの多くが職を失うことに繋がりかねません。
著作権指令は承認されましたが、最悪の意図しない結果を避けるために私たちができることはまだあります。EU加盟諸国は、2年以内に新指令に沿った国内法を導入します。つまり、まだ、クリエイターからの声が高まれば、大きな変化がもたらされる余地は残されています。
私たちは共に力を合わせ、オープンな創造性を求める声を高める必要があります。
Change.org での署名は歴代で最も多いものになり、その声は国境を越えて広まっています。私たちの訴えは終わっていません。まだ始まったばかりです。
3. コミュニケーションとエンゲージメントの向上私個人としても、 YouTube としても、クリエイターの声を傾聴することを約束します。昨年同様、ソーシャル、動画、一対一でのやりとりを通し、クリエイターとのコミュニケーションをさらに強化していきます。2019 年は、私はより多くのクリエイターと会い、重要な問題に関して話し合う機会を作りたいと考えています。ぜひ沢山の声をお寄せください。
そして、YouTube Studio Beta はすでに試していただけたでしょうか?YouTube Studio Beta は、クリエイターの皆さんに最新情報やニュースを提供するために開発しました。ダッシュボードからは、YouTubeで発生している動作不良、バグ、問題などを一覧にした報告、インプレッション、サムネイルのクリック率、ユニーク視聴者数など、これまでに要望の高かった指標を含む新しいアナリティクスが確認できます。加えて、新しい Studio では、カードと終了画面のサポート、およびアナリティクスでの比較機能も改善しています。これらの改善にとって、クリエイターのフィードバックは欠かすことができません。今後もより多くのリアルタイムのデータを提供していく予定ですので、引き続きご協力をお願いします。
さらに、多くのクリエイターから、コミュニティ ガイドラインの違反警告の矛盾やわかりにくさを指摘する声が寄せられたことを受け、私たちはポリシーをよりシンプルかつわかりやすいシステムへと
更新しました。今後は、違反警告を一度受けることができ、すべてのクリエイターに対して同様の手順が適用されます。違反警告を受けた場合、クリエイターはコンテンツがポリシーに準拠しているかどうか、ペナルティが適用される前に確認できます。この変更は、動画、サムネイル、リンクなど、すべてのコンテンツに対して等しく適用されます。新たに追加されるモバイルおよびサービス内での違反警告に対する通知に加え、メールおよびデスクトップ通知では、コンテンツがどのポリシーに違反したかを細かく確認できます。
皆さんと同じように、YouTube も絶えず変化する世界に追いつくために適応し続けています。ですが、YouTube の過去、現在、そして未来の成功が、クリエイターによって支えられているという事実は変わりません。多くのクリエイターの皆さんは、YouTube が始まった初期の頃から、YouTube を今日の活気あふれたコミュニティへと共に成長させてくれました。 YouTube が自分たちの責任を新たに示し、クリエイターの皆さんがファンを獲得できるように機会を創出することで、クリエイターの成長を支援したいと考えるのはこれが理由です。
クリエイターは、やりがい、よろこび、困難に同時に直面しますが、そこには大変な作業に見合うだけの価値があります。クリエイターこそがカルチャーの最先端であり、クリエイターが発信するストーリーは、世界につながる力と学びをもたらしています。今後も多くの意見やフィードバックを私たちに共有してください。クリエイターの声こそが YouTube をより良くします。
スーザン ウォジスキー
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