医学的に誤った情報に関するポリシーの作成には、特有の課題やトレードオフが発生します。新たな研究結果が発表される度に科学的知見が更新される一方で、オンラインでは個人的かつ直接的な体験が常に大きな影響力を発揮しています。なかでもワクチンは、その効果に関する統一指針が複数の公衆衛生当局から出ているにもかかわらず、長年激しい論争の種となってきました。YouTube は、米国時間 2021 年 9 月 29 日、ワクチンに対して医学的に誤った情報に関するポリシーを拡大しました。これは、地域の公衆衛生当局や世界保健機関(WHO)により安全性や効果が確認された上で投与されているワクチンに関する新しいガイドラインに基づいています。
YouTube のコミュニティ ガイドラインでは、特定の種類の医学的に誤った情報は既に禁止されており、例えば「松精油を飲用すれば病気が治る」などといった有害な治療法を奨励するコンテンツは、これまでも削除してきました。新型コロナウイルス感染症では、パンデミックの発生当初に、専門家の協力のもと、既存のポリシーに基づいて COVID-19(新型コロナウイルス感染症) の医学的に誤った情報に関する 10 のポリシーを新たに策定しました。昨年以来、新型コロナウイルス感染症ワクチンに関する YouTube のポリシーに違反した動画は 13 万本以上削除されています。
YouTube は、こうした取り組みを通じて、複雑で解釈が難しい、医学的に誤った情報に関するポリシーの策定とポリシーに基づいた対処を大規模に行うことについて、貴重な教訓を得ました。公衆衛生当局と緊密に連携しながら、開かれたプラットフォームとしての YouTube の立場と、著しく有害なコンテンツを削除する必要性とのバランスを取ることを目指しました。そして今、新型コロナウイルス感染症ワクチンに関する誤った主張は、ワクチン全般に関する誤情報へと波及してきています。そうした状況を踏まえ、新型コロナウイルス感染症に対する YouTube の対策をその他のワクチンにも適用することがこれまで以上に重要になっています。
具体的には、承認されたワクチンの危険性や慢性的な健康への影響についての誤った主張、ワクチンが感染や疾患の抑制に効果がないとする主張、ワクチンの成分に関する誤情報が含まれるコンテンツなどが削除の対象となります。「承認されたワクチンが自閉症・癌・不妊を引き起こす」、「ワクチンの成分によってワクチン接種者が追跡される」などといった誤った内容が含まれるコンテンツも同様です。YouTube のポリシーは、はしかや B 型肝炎のような定期予防接種だけでなく、ワクチンに関する一般的な発言にも適用されます。
新型コロナウイルス感染症に関する YouTube のガイドラインと同様に、ワクチンに関するポリシーも地域の公衆衛生当局、世界保健機関や専門家の助言に基づいて策定しています。例えば、ワクチンの副反応に関する YouTube の新しいガイドラインは、ワクチンに関して公衆衛生当局から発表された公的資料に対応しており、医学的な統一見解に裏付けられています。このポリシー変更は米国時間 2021 年 9 月 29 日から適用されています。ただし、その他の重要な変更と同様に、システムによって完全に適用されるまでには、しばらく時間がかかることが想定されます。
なお、新しいガイドラインでは、いくつかの例外を設けています。科学的なプロセスについての自由な対話や討論の重要性を踏まえ、ワクチン政策や新たなワクチンの治験、過去のワクチンの成功や失敗を扱うコンテンツは引き続き許可します。また、他のコミュニティ ガイドライン違反や、チャンネルでのワクチン忌避の継続的な助長が見受けられない限り、ワクチンに関する個人的な体験談が含まれる動画は許可します。
今回の措置はすべて、YouTube がこれまで継続してきた、信頼できる健康関連情報を優先的に表示する(英文)ことで、健康に関して信頼できる質の高いコンテンツや情報源とユーザーをつなぐ取り組みを補完するためのものです。
この度のポリシー更新は、YouTube がワクチンや健康に関する誤った情報に対処するための重要な一歩です。YouTube は、視聴者や YouTube コミュニティ全体に質の高い情報を提供するために、今後もポリシーやサービス全般への投資を継続していきます。
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