日本版 YouTube 公式ブログ
YouTube 日本版公式ブログ
スーザン ウォジスキからクリエイター、アーティストの皆さんへ
2019年8月30日金曜日
四半期ごとの
恒例
となっていますが、YouTube の重要課題を振り返ると共に、クリエイターやアーティストの皆さんの成功をどう支援するかについてお話したいと思います。とはいえ、今回は、この四半期の出来事を振り返るのではなく、個人的にとても重要だと考えていることと YouTube の今後について、具体的には「Openness(開かれた場であること)」、そしてコミュニティを守る責任とのバランスをどう取るかについてお話します。
YouTube は Openness を前提としています。世界中の何百万人ものクリエイターが、このオープンな環境を通して世界中の視聴者とつながり、クリエイティブエコノミーの拡大に貢献してきました。ただし、オープンでいることには課題が伴うため、YouTube ではガイドラインやポリシーを設け、継続的に見直しています。例えば、最近行ったヘイトスピーチに関するポリシーの更新や、今後予定している嫌がらせやネットいじめに関するポリシーの更新は、この取り組みの一環です。さまざまな意見や考えを受容する場を作ろうとすると、一線を越えるような行為も出てきます。不正行為を阻止するためにどれだけシステムに投資しても、中には個人的利益のためにプラットフォームを悪用しようとする人もいます。問題が起こるにつれ、立法担当者、メディアや評論家からはオープン プラットフォームに価値があるのか、あるいはそもそも運用可能なのかという疑問の声が上がってきます。
こうした懸念はあるとしても、私はオープン プラットフォームの存在がこれまで以上に重要になると確信しています。
まず、オープンであることはチャンスを広げます。現代のクリエイターは、まさに次世代のメディア ビジネスを体現していますが、従来のメディア環境では成功するチャンスに恵まれなかったでしょう。例えば、スウェーデンのロボットマニアである
Simone Giertz
や盲目のライフスタイル vlogger(動画ブロガー)である
Molly Burke
は、型にはまらない魅力を持ちながらも、従来のメディアでは紹介されていませんでした。しかし、彼らは YouTube で成功したことでビジネスを行い、グッズを販売し、雇用を創出し、周囲に経済的価値を生み出しています。また、
Laura Vitale
、
Sallys Welt
、
Helen's Recipes
といったクリエイターは、料理への情熱を自身の仕事とし、複数のチャンネルや料理本などで成功しています。これはほんの一例なのです。Ryerson 大学の
レポート
(英文)によれば、YouTube クリエイターは、カナダだけで 28,000 人分のフルタイムの雇用を創出しています。さらに、カナダの調査対象クリエイターの 20 % が新たに雇用を創出しています。年間 10 万ドルを超える収益を上げるチャンネルの数は、世界全体で数千にもなり、前年比 40 % 増えています。
次に、オープンであることはコミュニティの発展にも役立ちます。YouTube では、体験を共有することで、人と人の素晴らしい繋がりが生まれる事もあります。たとえば、ニュージーランドの
Ryleigh Hawkins
は Tourettes Teen というチャンネルを開設し、トゥレット症候群をかかえて生きる事への認識を広めています。有益で明るく楽しい彼女の動画には、世界中にファンがいて、ともすれば孤立してしまうかもしれない人々に独りではないと伝えています。また、
大学入試失敗の動画
を公開している 10 代の若者たちもいます。これらの動画は、つらい出来事は誰にでも起こり得ること、しかしそれでも人は立ち直れることを思い出させてくれます。
最後に、オープンであることは学びにつながります。私は大学教授の娘として育ち、生涯一学習者でありたいと思っているので、とりわけ
Origin of Everything
、
Manual do Mundo
や
Eddie Woo
などの Edutuber(教育コンテンツ クリエイター)が YouTube を世界規模の教室に変えていく様子に感銘を受けてきました。初対面の人に会ってYouTube について尋ねるたびに、YouTube で学んだことについての話を耳にします。たとえば、YouTube のおかげで数学の宿題ができた学生、壊れたガレージのドアを直せた母親、新しいスキルを習得した会社員、などの話です。
これらはいずれも、「Openness」がなければ成し得ないことだという点を改めてお伝えします。オープンでなければ、誰かが発信する人を決めるので、そこで発信されることはすでにどこかで聞いた事があるような事になってしまいます。誰かが
石けん作りへの情熱
を共有して小規模なビジネスを立ち上げても、軌道に乗ることはないでしょう。いじめられている 10 代の子が、自分と似たような体験をしている人が集まり、状況は良くなると教えてくれる
コミュニティー
を見つけることもできません。さらに、
惑星物理学
に夢中で好奇心旺盛な人がいくつか動画を探しても、おそらくうまくいきません。
オープンでいることへの取り組みは簡単ではありません。時には、一般的ではないコンテンツや物議を醸すコンテンツ、攻撃的なコンテンツが存在することにもなります。しかし、多様な考え方に触れることは、たとえ受け入れがたいものがあったとしても、最終的にはより多くの情報に基づいた強い社会につながると信じています。YouTube では、オープンであり続けるための主な取り組みとして、言論の多様性を許容する
ガイドライン
の策定だけでなく、責任あるコミュニティーを構築するための措置も取っています。繰り返しお伝えしてきておりますが(
5 月
や
2 月
のブログ)、「Responsibility(責任)」は YouTube の最優先事項です。YouTube は責任ある行動でコンテンツを管理することで、ユーザーとクリエイターの皆さんを守っていきます。これがオープンであることのさまざまな恩恵を受け続ける事に繋がると考えています。
問題のあるコンテンツの割合は YouTube 全体の 1 % 以下です。しかし、このごくわずかなコンテンツが、ユーザーへの被害とコミュニティーの発展を支えるオープンモデルへの信頼の喪失という両面で影響を及ぼします。問題のあるコンテンツは利益をもたらすので、YouTube はそのようなコンテンツへの対応をためらっているなどの噂を耳にしたことがありますが、これはまったく真実ではありません。実際、長期にわたって適切な対処を怠ると、ユーザーや広告主、ひいてはクリエイターからの信頼を失うことになります。信頼が一番大切です。
そういった観点から、YouTube は過去数年間に渡り、YouTube を守るチームやシステムに重点的に投資をしてきました。YouTube の責任を伴った行動には、以下の 4 つの「 R 」が含まれます。
●ポリシーに違反するコンテンツはできるだけ速やかに削除( REMOVE )します。また、今年に入り、危険ないたずらやチャレンジ、子どもの安全、悪意のある表現に関するポリシーに関して実施してきたように、ポリシーをより明確かつ効果的にするように努めています。クリエイター コミュニティーでポリシーが機能していないと感じた場合は、ぜひお知らせください。更新が必要というご意見をいただいている事柄の 1 つは、クリエイター間の嫌がらせです。前回のレターでお伝えしたとおり、この問題について調べ、今後数か月のうちに詳しいことをお知らせする予定です。
●人々が速報のニュースや情報を求めているときに、信頼できる情報を取り上げ( RAISE UP )ます。現在、ニュース速報棚とトップニュース棚は、日本を含む 40 ヵ国で提供していますが、今後も提供する国を増やしていく予定です。
●ポリシーに抵触しそうなコンテンツが広まることを抑制( REDUCE )します。今年初めに米国で、動画をおすすめするシステムに変更を加えました。その結果、おすすめ動画からのこの種のコンテンツへの視聴回数が 50 % も減少しました。つまりその分、質の高いコンテンツが視聴されるチャンスが増えたといえます。英国、アイルランド、南アフリカなどの英語圏でも、この変更のテストを開始しました。
●YouTube で収益化が可能な
チャンネルの基準を上げ
、基準を満たす信頼できるクリエイターが報いられる( REWARDING )ようにします。YouTube で配信が許可されている全てのコンテンツについて、広告主がブランド イメージに合っていると感じるとは限りません。YouTube は、広告主が安心して広告を掲載できるよう努めています。また、Super Chat やメンバーシップなど、クリエイター向けの新しい収益源となる機能を開発しています。広告に加えてこうした新しい機能を追加することで、数千ものチャンネルが YouTube での総収益を 2 倍以上に伸ばしています。
私は、クリエイターの皆さんから聞くストーリーから、毎日刺激を受けています。皆さんが作ったコミュニティは、多様な意見を反映するインターネットが、世界をより良い方向に変えられるという事を体現しています。クリエイターの皆さんはとても素晴らしいものを築いてきました。YouTube の役割は、将来のクリエイターやユーザーがそれを引き継いでいけるよう、「開かれた場であること」と「責任の伴った行動」に対して適切なバランスを取っていくことだと考えています。
スーザン ウォジスキ
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