ここ数年は、 私たち全員にとって変化の時期でした。新型コロナウイルス感染症により生活が大きく変化し、それに適応してきました。同時に、YouTube コミュニティにも想像を超えるすばらしい成長が見られました。クリエイターたちが YouTube に集まって、各々の日々を共有したり、各々の生計を立てたり、私たちを取り巻く世界をより良いものへと形作ってくれています。彼らのおかげで、YouTube コミュニティが一体となって世界に貢献しています。例えば、昨年、クリエイターの MrBeast とMark Rober は、Team Seas を立ち上げ、海、海辺、河川を汚すゴミを 3,000 万ポンド(1,360 万キログラム) 以上除去する資金集めに貢献しました。
YouTube は、本年も更なる成長を目指して全力で取り組んでまいります。今日は私達が注力していることについて確認したいと思います:クリエイター エコシステムの現状、イノベーション、クリエイターのサポート、YouTube コミュニティの保護。
クリエイター エコシステムの現状
YouTube はクリエイター エコシステムの発展にコミットしています。
YouTube でコンテンツを作成している人の数は増加の一途をたどっています。この勢いは、YouTube ショートも含め、プラットフォーム全体で増しています。全ショート動画の総視聴回数は 5 兆回を超えました。
クリエイターはいつも私たちを楽しませ、学ばせてくれます。世界の様々な国の経済にも大きな影響を与えており、世界全体で年間収益が 1 万ドルを超えるチャンネル数は、前年比で 40% 増加しています。
クリエイターがもたらす経済効果は、Oxford Economics の一連のレポートでも示していただいたところです。2020 年には、世界中の人々が新型コロナウイルス感染症による生活の変化への適応を迫られる中、YouTube のクリエイター エコシステムによって創出されたフルタイム雇用数は、米国、日本、韓国、カナダ、ブラジル、オーストラリア、EU 全体で年間 80 万人を超えるとのことです。
その他の収益源
私が YouTube に着任した頃、クリエイターが YouTube で収益を得る方法は広告のみでした。以来 YouTube では、クリエイターが視聴者とつながる機会を増やすために長年取り組んでまいりました。今やクリエイターは YouTube で様々な方法で収益を得ることができます。
Super Chat やチャンネル メンバーシップなど、広告以外のサービスから収益を得ているクリエイターが増え続けています。昨年は、YouTube のチャンネル メンバーシップと有料デジタル アイテムの購入・更新が 1 億 1,000 万回以上行われました。先月、韓国では YouTube チャンネル メンバーシップからの収益が、2020 年 12 月と比べて 50% 以上も増加しました。
YouTube は今年、クリエイターの収益化と配信のリーチ拡大を可能にするポッドキャストなどの分野にも機会を拡大する予定です。ポッドキャストの利用は成長を続けており、クリエイター エコシステムに不可欠な要素となることが期待できます。
YouTube ではさらに一歩先の未来を見据え、YouTube の継続的なイノベーションに向けたインスピレーションとして、Web 3.0 の可能性を模索しています。昨年は、暗号通貨、非代替性トークン(NFT)、さらには自律分散型組織(DAO)までも含めた世界が、クリエイターとファンのつながりを深める機会として、かつて想像もつかなかった注目を集めました。NFT のような先進技術を利用してクリエイターの収益化を支援するようにするなど、私たちは YouTube のエコシステムを発展させることを常に重視しています。同時に、クリエイターとファンによる YouTube の利用体験を強化し、継続的に向上させることにも努めています。
クリエイターの利用体験を向上させる新機能
YouTube の未来を見据えた開発とイノベーションに取り組むと同時に、YouTube はクリエイター コミュニティのサポートにも注力しています。第一に、YouTube ではクリエイター自身による管理機能の強化を進めています。昨年は公開前チェック機能を導入し、クリエイターが動画を公開する前に著作権や広告の適合性に関する問題(日本語字幕あり)の有無を事前に確認できるようにしました。
クリエイターに YouTube に期待する新機能をたずねると、モバイル関連の機能が真っ先に挙げられることが多いです。YouTube は今年もそのニーズに応える更新を行う予定です。
第二に、YouTube は開発とイノベーションの舞台裏でポリシーの入念なチェックも怠っておらず、ポリシーに照らし合わせて適切な判断を行うようにしています。昨年は YouTube の広告掲載に適したコンテンツのガイドラインを更新し、広告主の業界基準を維持しながら、収益化対象として許可されるコンテンツの範囲を広げました。
どのようなコンテンツがポリシー違反となるのか理解を深めたいというご要望も、多くのクリエイターの方々から寄せられています。 YouTube では、専門スタッフを増員し、クリエイターに、タイムスタンプなど、ポリシー違反のより詳細な情報を提供できるよう、試験的な取り組みを拡大しています。この取り組みは、今後さらに発展させていく予定です。
イノベーション
YouTube の未来の礎を築く
今後は、イノベーションにより一層注力していく方針です。今年 YouTube が特に投資していく分野をいくつか紹介します。
YouTube ショート
YouTube では、クリエイターが YouTube ショートを気軽に始められ、視聴者にいち早くリーチできるように日々努めています。昨年は、他のYouTube 動画のサウンドをリミックスできる機能の提供を開始しました。この機能は、今後数か月かけて、YouTube のコンテンツをリミックスするさらに画期的な方法とともに拡大していく予定です。
YouTube ショートでは、Jake Fellman、Lisa Nguyen、Chahat Anand といった比較的新しいクリエイターから、Colin and Samir のような YouTube で長年の実績があるクリエイターまで、多くのクリエイターがすばらしい活躍を見せています。
また、クリエイターがショート動画で収益化できるように YouTube ショート ファンドを導入し、現在 100 か国以上で利用されています。昨年このファンドから支払いを受けたクリエイターの 40% 以上は、YouTube パートナー プログラムに参加していなかったクリエイターです。今年は、クリエイターとブランドを結び付ける YouTube プログラム BrandConnect を通じて YouTube ショート クリエイターがブランド コンテンツを作成できるようにする新しい方法も試す予定です。
音楽
昨年は YouTube Music にとっても大きな年になりました。YouTube Music と YouTube Premium の利用者数(トライアル含む)は、ついに 5,000 万人を超える大記録を 2021 年に達成しました。昨年 6 月には、YouTube が過去 12 か月間に音楽業界に支払った金額が 40 億ドルを超えたことも発表しました。
YouTube は、BLACKPINK の初のグローバルライブ配信コンサートをお届けしたり、BTS の Permission to Dance ショート チャレンジを開催したりするなど、アーティストと世界中のファンをつなぐ取り組みを継続しています。
ゲーム
YouTube におけるゲームの進化(英文)も目覚ましく、ゲームのシーンの中でクリエイター独自の物語を展開したり、世界最大の eスポーツに参加するなど、ゲームに関する多様なコンテンツがYouTube を活動拠点としています。2021 年の上半期だけで、YouTube のゲーム関連の視聴回数は 8,000 億回を超え、9,000 万時間以上のライブ配信、 2 億 5,000 万本以上の投稿数を記録しています。
YouTube が他のプラットフォームと異なるのは、ゲームクリエイターのために、ライブ配信、VOD、ショート動画など、複数の動画フォーマットでそれぞれのストーリーを伝えるための単一の目的地を提供している点です。今年は、Ludwig、DrLupo、TimTheTatman といったトップ クリエイターによる YouTube での独占配信を実現し、VOD コンテンツ構築へ向けたクリエイターたちの果敢な取り組みをこれまで以上に後押しできることを楽しみにしています。YouTube は、視聴者はもちろんのこと、すべてのクリエイターに対しても、ライブ体験を向上させたいと考えています。特に、ライブ配信をより見つけやすくし、チャット機能をより充実させることに重点を置いています。また、 YouTube チームは、クリエイターと視聴者がゲーム関連のショート動画をより作成しやすくするために試行錯誤中です。さらに今年は、特にリクエストの多い機能の 1 つでもあるメンバーシップ ギフト贈呈機能(英文)の一般提供を開始する予定です。
ショッピング
私たちは、YouTube が次世代の e コマースの場となるために力を注いでいます。視聴者が動画で紹介された商品情報を見たり、購入できるようにするためにクリエイターがタグ付けを行うプログラムの試験運用を始めています。ショッピングを YouTube ショートと統合させる試みも初期段階にあります。
ライブ配信で商品レビューを行ったり、新しいグッズをローンチしたり、購入品の紹介を行ったりするクリエイターが増えてきています。Simply Nailogical は昨年夏、YouTube の最新ライブ ショッピング ツールを活用して、彼女自身による最新ネイル アート コレクションを発表しました。動画をショッピングの窓口とし、最新の商品をタグ付けすることで、大勢のファンがまとめてライブ コレクションを探索し、ストリーミングに参加したまま買い物ができるようになりました。初回のライブ配信が大成功をおさめたので、それ以来、新作コレクションのローンチに毎回ライブ ショッピングを活用しています。
ライブ ショッピングは現在、米国、韓国、ブラジルでテスト運用中です。そして、今年は Shopify などのコマースプラットフォームと提携してライブ ショッピング(英文)をさらに多くのクリエイターとブランドが利用できるようにし、よりインタラクティブで楽しみやすいユーザー体験の構築を目指しています。
リビングルーム
YouTube を映し出すスクリーンとして、テレビは 2021 年も最も急速に成長(英文)したメディアでした。YouTube をテレビ画面でもっと楽しめるようにすると同時に、スマートフォンを活用したテレビでの視聴体験についても引き続き探求し続けます。
学び
多くの方々は、学びの目的で YouTube を日々利用しています。それは宿題用だったり、新しい興味の探求や、新しいキャリアに向けたスキルの構築であったりと、目的は様々です。YouTube のプラットフォームは、クリエイターや教育機関にとって、学習をより身近でアクセスしやすいものにするためのツールとなっています。昨年は、UNESCO との提携によりメキシコとアルゼンチンで中高生向けカリキュラムをサポートする Mi Aula チャンネルを立ち上げ、両国の中高生のための動画による学習支援に取り組みました。この取り組みは、今年中に YouTube Edu チャンネルを通じてブラジルにも拡大する予定です。
YouTube は、教育コンテンツを利用するユーザー数を倍増させることを目標に掲げ、視聴者をより良い学習方法に導く新しい機能を通じてこの目標を達成すべく、努力を続けています。
サステナビリティ
YouTube が、人々が集い、学び、互いに刺激し合える場であることを誇りに思っています。気候変動は私たちすべてにとって重大な問題です。今年は、環境保護に取り組むクリエイターが気候変動に関するコンテンツ(英文)を YouTube で広める活動を、更に支援していきます。 Jack Harries や Sejal Kumar のようなクリエイターが昨年、国連気候変動枠組条約第 26 回締約国会議(COP26)に参加して、COP26 を世界中にライブ配信(英文)したのは、画期的な出来事でした。YouTube はより持続可能な未来に向けて、一企業として取り組むことにコミットします。
低評価についての見解
低評価数の非表示にしたことが多くの議論を呼んでいることは承知しています。また、低評価の数で見る動画を決めていたという声もあることも認識しています。しかし、人々が低評価ボタンを押す理由は様々で、動画自体とは関係のない理由で低評価にする場合もあるので、見る動画を決めるための基準にするのは必ずしも正確ではありません。そのため、これまでも、YouTube のホームページ、検索結果、「次の動画」画面で低評価の数を表示したことは一度もありませんでした。
また、クリエイターの動画に意図的に低評価数を増やそうとする「低評価荒らし」行為があり、低評価数を公開する仕組みが YouTube のエコシステムを阻害している状況も見受けられました。特に、小規模のクリエイターや YouTube チャンネルを開設したばかりのクリエイターが、このような攻撃の標的にされるケースが目立ちました。YouTube では、すべてのクリエイターが、嫌がらせを受けることなく自身を表現できると感じて欲しいと思っています。そこで、YouTube は、何百万本もの動画を対象に、数か月かけて、低評価のボタンを押すことはできるが、その数は非表示になるという実験を実行しました。あらゆる角度から検証した結果、低評価数が公開されているか否かで、視聴者数に有意な差異は認められませんでした。そして何よりも重要なのは、低評価数の非公開によって低評価荒らしが減少したことです。
クリエイターは、低評価数が指標として有益だと思われる場合は、引き続き YouTube Studio で正確な低評価数を確認できます。また、視聴者は引き続き動画に低評価を付けておすすめ動画の提案を調整できます。
人種間の平等、公平性、プロダクトの包含性の確立に向けた取り組み
クリエイターの属性
米国では、YouTube Studio にて、「クリエイターの属性」アンケートを設けており、米国内のクリエイターが任意で性別、性的指向、人種や民族に関する質問に回答できるようになっています。ここで集められた情報は、YouTube のポリシーやサービスをすべての人のために機能させるための貴重な資料となります。今年は、これを他の国々にも提供する予定です。
クリエイターによるコミュニティへの積極的な貢献
昨年は数十名ものクリエイターが、プライド月間を祝して The Trevor Project への募金活動に参加してくれました。また、昨年は、The Try Guys の Eugene Lee Yang が制作したドキュメンタリー「We Need To Talk About Anti-Asian Hate(アジアンヘイトについて話そう)」も多くの人の心を動かしました。彼は Jay Shetty や Asia Jackson をはじめとするクリエイターや活動家とともに、アジア太平洋諸島(API)文化を称える YouTube Originals シリーズ「Recipe for Change」の第 1 弾にも参加しました。
#YouTubeBlack Voices Fund
昨年は、世界 7 か国から 133 人のクリエイターとアーティストが #YouTubeBlack Voices Fund Class of 2021 に参加しました。同プログラムに参加したクリエイター KevOnStage と最近お話する機会があり、すばらしい体験談を聞くことができました。 YouTube では、黒人の意見、ストーリー、文化に関する独自コンテンツを継続して支援していきたいと考えています。YouTube は基金を立ち上げて以来、Bear Witness、Take Action Pt. 3、Onyx Family Dinner を含め、YouTube Originals 番組を 12 作品リリースしました。
YouTube コミュニティの保護
クリエイターを支援するための革新的な取り組みの根底には、YouTube コミュニティを責任を持って保護することへのコミットメントがあります。誤情報やその他の有害なコンテンツに対処することは、最優先事項です。ここ数年、私たちは機械学習への投資を通じて、ポリシーを大規模に適用して実行できるようになりました。昨年、私たちはコミュニティガイドライン適用報告書の新しい指標として、違反コンテンツ視聴の割合(VVR)を発表しました。VVR は、YouTube での視聴のうち、ポリシー違反コンテンツが占める割合を追跡します。2021 年第 3 四半期、YouTube の VVR は 0.09 ~ 0.11%で、つまり YouTube の 1 万回の視聴のうち、9 ~ 11 回がポリシー違反コンテンツであることを意味します。2017 年から 2021 年第 3 四半期にかけて VVR は 70% 以上減少しました。
おすすめ動画においては、ぎりぎりガイドラインに違反するボーダーラインにあるけれども、それを超えないようなコンテンツを減らすように努めています。このような「ボーダーライン」のコンテンツの視聴回数を、全体の 0.5% 以下に抑えることを目標としています。また、ニュースや医療/健康(英文)などの重要なトピックについて、信頼できる情報源からのコンテンツを見つけやすくする取り組みも同様に重要視しています。
ここ数年、このような変化を遂げる中で、透明性を求める声も多く聞かれるようになりました。将来的には、これらのトピックをより深く掘り下げることができるようにしたいと考えており、研究者がより多くの情報を入手できるようにする計画を立てています。
子どもには更に高いレベルの保護が必要
私自身、5 人の子どもの母親なので、オンラインでの子どもの安全は常に気にかけています。YouTube では、子どもの発達に詳しい専門家と協力して、あらゆる年代のユーザーを対象に YouTube の利用体験を開発し、子どもの安全をその発育の段階に応じて適切に保護するための基準を設けています。
6 年前には、13 歳未満の子どもに年齢に適した動画へのアクセスを提供する場として YouTube Kids をリリースしました。そして昨年は、9歳以上の子どもが一人で YouTube を使えると判断したご家庭を対象に、保護者向け管理機能を導入しました。また、18 歳未満向けには、アップロードのデフォルト設定を非公開にする、デジタル ウェルビーイングのための保護機能を有効にする、自動再生をオフにする、18 歳未満をターゲットとする広告をブロックする、などの新しい保護機能を展開しました。今年も引き続き、子ども向けコンテンツの質の向上に努めていきます。
規制の状況
YouTube は、YouTube のプラットフォームを利用する視聴者、クリエイター、アーティストのための優先事項に関わる問題について、政府関係者と継続的に協議を進めています。発展を続けるクリエイター エコシステムに対して、政策立案者の決定がどのような影響を及ぼすのか、彼らの理解を得ることはとても重要だと考えています。
米紙 Wall Street Journal (英文)にも寄稿した通り、YouTube は規制を遵守し、その取り組みをサポートしています。現在、世界中の国々の規制を遵守しています。しかし、新たに制定された規制が意図しない結果をクリエイター コミュニティにもたらす可能性も危惧しています。特に適法な表現に関する法規制には注意が必要です。今年念頭においている優先事項は以下の通りです。
DSA: 昨年もふれましたが、欧州連合(EU)で提案されているデジタル サービス法(DSA)はオンラインでの言論に影響を及ぼす可能性があります。2 年の歳月を経て、法案は最終段階に入り、YouTube がまだ活動可能な加盟国において統一されたデジタル消費者保護の枠組みをサポートするために、関係者と協力しています。
第 17 条: EU による著作権に関する指令の第 17 条(旧第 13 条)が各 EU 加盟国の国内法に組み込まれる過程で、YouTube は引き続き EU 加盟国との連携をすすめます。このプロセスにおいて、クリエイターの声が前向きな変化をもたらしました。法律を実情に即したものにするために何らかのアクションを起こしてくださったクリエイターの皆さんに感謝します。
本年は世界各国の政策立案者に働きかけ、YouTube コミュニティの立場を発信していきます。
YouTube を拠点に活動するクリエイターとアーティスト、そして YouTube のプラットフォームを毎日のように訪れて楽しんでくださる世界中の人々をサポートすることに、YouTube はこれからも全力で取り組んでいきます。
これからも皆さんの創造性あふれる動画を楽しみにしています。
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