このブログでは、今回発表したレポートを「リアルタイム性( Immediacy )」「インフォーマル感( Informality )」「没入体験( Immersiveness )」の 3 つのキーワードととも に2020 年の YouTube のカルチャーとトレンドを紹介します。
リアルタイム性
外出自粛にともない、多くの音楽コンサートやイベントが中止になりました。それに代わる場として、デジタルのライブ配信が活用されています。日本では 64% の人が過去 12 ヶ月の間にライブ配信を視聴しました(*1)。
例えば、まふまふさんは 2020 年 5 月に、全世界のファンに向けて、東京ドームから無観客でYouTube のライブ配信し、最高で 18 万人以上の YouTube での同時視聴者数を記録しました。動画の視聴回数は 300 万回を超えています(*2)。
また、長時間にわたる “チャレンジ企画” によって視聴者との一体感を生み出したライブ配信の事例も。東海オンエアさんは 48 時間ウォーキングマシンを交代で歩き続け、サンシャイン池崎さんは「ジャスティス」を1 万回叫びました。どちらのライブ配信も、達成の瞬間にたくさんの視聴者と感動を分かち合いました。
また、韓国のアーティスト BTS のチャンネルで新タイトルの「Butter」にかけて公開された、 1 時間以上に及んだバターが溶けていく ASMR ライブ配信は、世界中のファンたちを一つの場所に集め、リリース発表の瞬間を共有する仕掛けを作り出すことに成功しました。
インフォーマル感
創られていない、フィルターの少ない「素」を見せることが、YouTube でよりネイティブな表現になりつつあります。
THE FIRST TAKE は、一発撮りによってアーティストの素の姿や、オーセンティックな音楽を届けています。このユニークなフォーマットで、チャンネル登録者数は 450 万人以上、チャンネル総視聴回数は 10 億回を超えています。
また、自宅で撮影やビデオ会議をすることが一般的になるにつれ、より多くの方がオンラインプラットフォームに動画を投稿するようになっています。日本では 47% の人が過去 12 ヶ月の間に動画コンテンツをオンラインに投稿しました(*3)。
指原莉乃さんの約 30 分におよぶ詳しいメイク術解説や、車椅子で生活されているかしわせチャンネルさんの「夫が障害者になった妻の壮絶な1日ルーティーン」と題された日常動画など、クリエイターのありのままを見せた自己表現が、たくさんの視聴者の心を掴みました。
没入体験
動画コンテンツは広義の意味で、視聴者が自分が知りたい、好きな世界に深く浸れる没入体験もつくりだしています。
緊急事態宣言や外出自粛が続く中で、視聴が増加した動画ジャンルの一つが、川の流れ、波の音など、自然の音や映像です。また、お花見の時期には、全国の桜を映したハイクオリティな映像も人気となりました。
2021 年 3 月時点において、日本で YouTube をテレビ画面で視聴する人は 2,000 万人以上にのぼります(*4)。こういった動画を、自宅の大きなスクリーンで楽しむことで、実際に訪れることができない場所と精神的なつながりを持ち、安らぐこともできるでしょう。
また、ゲームコンテンツのコラボレーションでは、 参加するプレイヤーごとに異なる視点の動画が生まれ、ひとつのイベントでもより多角的に、深く楽しむことができます。例えば、さまざまなオンライン大会が開催されてきた Apex Legends に関連する動画の 2020 年の平均視聴回数は、2019 年のリリース以降と比べ、350% 増加しました。
また、Dream SMP などのオープンワールドにおける、多人数の長期間コラボレーションでは、その世界におけるフィクションのプロットが生まれたり、ファンアートが生まれたりと、視聴者をも巻き込んだ没入体験が生まれました。詳細はこちらをご確認ください。
一年以上にわたって、私たちはいつもと違う日常を過ごしてきました。この変化を通じてデジタルの世界では、共感したり、誰かとつながったり、お互いを理解したりすることなど、より多くの体験を動画を活用して行うようになりました。このレポートが、これからどのように私たちが動画を視聴するかを考えるヒントになれば嬉しいです。
レポートの全容は、こちらからご覧いただけます。