今年皆さんからいただいた問い合わせの 1 つに、著作権侵害の申し立てがあります。特に、収益化
されている動画に使用された、短尺の音楽クリップに対する手動申し立てへのご意見を多くいただ
きました。こうした申し立ては、使用する楽曲の長さに関係なく、多くの場合、著作権者がすべて
の収益を受け取っていました。
この課題に関して、数ヵ月前に、非常に短く、意図的でない楽曲使用について申し立てる金銭的なインセンティブを無くすための変更を行いました。また、全ての手動申し立てにおいて、問題となるコンテンツの動画内での正確な表示位置(タイムスタンプ)の提示を義務付け、指摘されたコンテンツを動画から簡単に削除できるように編集ツールを更新しました。
YouTube は、今後数ヵ月で、すべてのクリエイターを新しい YouTube Studio に移行すべく取り組
んでいます。これは、従来のクリエイター ツールでは、バグの修正や皆さんが求める新機能の導入
を迅速に行えないためです。例えば、新しいダッシュボード、高性能な分析機能やリアルタイムで
のパフォーマンス指標など YouTube Studio ならではの機能アップデートの多くは、クリエイターの皆さんからのご要望がきっかけで開発されています。来年初めには、大多数のクリエイターの方が従来のクリエイター ツールにアクセスできなくなります。これについては、事前に個別に通知する予定です。使い慣れたツールを変更することに抵抗があるかもしれませんが、新しい YouTube Studioは、皆さんのアイデアをより早く実現するための強力な礎になると思っています。
また、クリエイターの成功を支援するために、広告収益以外にも、ファンとクリエイターとの繋が
りを活用した新しい方法での収益化も始めています。現在、何千ものチャンネルが、Super Chat、
チャンネル メンバーシップ、グッズの棚(日本未対応)など、ファンと交流できる新機能を活用
し、収益を 2 倍以上に伸ばしています。Super Chat のメッセージを受け取ったチャンネル数は
10 万以上に上り、中には配信中の収益が 1 分あたり 400 米国ドル以上になったコンテンツもあります。ファンは Super Chat を利用して、クリエイターに挨拶やお祝いの言葉を送信し、交流しています。さらに、YouTube では、 Super Stickers を世界 60 ヵ国の対象クリエイターに提供を開始し、Super Chat 機能を拡大しています。
者との繋がりだけでなく、新しいチャンネル登録者を見つけるためにストーリーを活用していま
す。過去 1 年にわたりストーリーを使用したクリエイターは、使用しなかったクリエイターと比較
して、チャンネル登録者数が平均 8% 以上増加しています。
また、尖った内容を含むコンテンツと、そういったコンテンツに広告を掲載したいブランドとを
マッチングするテストも実施しています。ご存じのとおり、黄色の収益化アイコンは、動画内容が
理由で掲載される広告が限定されることを意味しています。YouTube では、例えば、年齢制限の
ある映画の宣伝を検討しているブランドなど、そういったコンテンツに関心のある広告主と
クリエイターとをマッチングする取り組みを行っています。このプログラムの結果、開始 1 ヵ月
で、黄色の収益化アイコンが表示されている動画に対する広告が数十万ドルに達しました。
詳細については、こちらをご覧ください。(英語のみ)
ゲーム クリエイターからは、実社会とゲーム内での暴力をポリシーで区別してほしいという要望を
いただいています。これを実現するために、近日中にポリシーを更新する予定です。
新しいポリシーでは、ゲーム内での暴力に対する制限は緩和しつつ、実社会での暴力から視聴者を
守るためには厳しい基準を維持します。
コミュニケーションとエンゲージメントの向上
クリエイターと会うことは私にとって常に重要項目の 1 つであり、今年は世界中で多くの クリエイターの皆さんとお会いました。
クリエイターの皆さんが広告掲載に適したコンテンツのガイドラインへの理解をより深められるよう
ているクリエイター 数十万人に拡大する予定です。このプログラムでは、クリエイターがご自身の
動画が広告ポリシーを遵守していることを自己申告できます。自己申告の精度が高いほど YouTube
からの信頼性が向上し、このプログラムを利用することで、クリエイターはより詳細に動画を管理
できるだけでなく、動画に収益化の問題があると判断された際の理由について具体的なフィードバ
ックも得ることができます。
また、クリエイターの皆さんからは、YouTube でテストの実施や変更があると困惑するという意見
もいただいています。例えば、問題がないように見えるものをなぜ修正するのか、また、もっと早
く情報を知りたいという声です。そこで、YouTube の開発プロセスについてご紹介します。
YouTube は、YouTube の 利用体験の改良を常に検討しています。すべての変更は、いくつかのバ
リエーションで複数回のテスト後に公開しています。昨年だけでも、2,500 回以上のアップデートを行いました。全ての新機能において、 3 ~ 4 バージョンのテスト後に開発し、ユーザーとクリエイターにとって最適なものを選定しています。規模の大小を問わず、こうした変更を通じて、皆さんが動画の配信を通じて、新しいクリエイティブ エコノミー(創造的な経済活動)を続けていくためのより良いサービスを提供していきます。また、今後は、これらの取り組みの実施理由やクリエイターの皆さんに与える影響について、よりわかり易くご案内していきます。これらのテストや変更は、視聴者とクリエイターの皆さん全員に良い結果になるように行っていることをご理解ください。
また、YouTube は、皆さんの well-being(健康)をサポートする取り組みについてもご紹介しま
す。多くのクリエイターが燃え尽き症候群にまつわる話を投稿しています。どうか、みなさんが健
康に留意し、回復に努められるように私からもお願いします。特にクリエイターの中には、自分の
チャンネルの評価が低下するのが心配で撮影を休めない、と話す方もいらっしゃいます。そこで、
YouTube のプロダクト チームが過去 6 年間のデータを調べたところ、概して、活動休止を経た数
百万のチャンネルは、その休止期間の長さは問わず、休止する直前と比較して、視聴回数が復帰後
の方が増えていることがわかりました。しばらく休む必要があっても、ファンは理解してくれま
す。つまり、ファンは、「あなた」のチャンネルだからこそ視聴したいからです。
責任の遂行
繰り返しになりますが、YouTube の最優先事項は、コミュニティを守る責任と表現の自由を守る
責任のバランスを保つことです。関連して寄せられる質問に、ポリシーをどう変更しているのか、
変更に時間がかかる理由を知りたいなどがあります。
まず、時間がかかる理由としては、こういった変更の裏側で、何百人という YouTube の担当者
が外部の専門家と協議していることがあります。数ヵ月前にヘイトスピーチに関するポリシーを
更新した際は、暴力的な過激主義、人権や言論の自由などの複数分野の専門家と協議しています。
YouTube では、綿密な話し合いを行うことで、コミュニティを長期的に守るガイドラインを策定しています。今年の初めに、いたずらやチャレンジに対するポリシーを更新したときにも、同様のプロセスで実施しています。
YouTube のポリシーは、さまざまな文化や言語で起こる問題にも対応する必要があります。また、世界中のユーザーがポリシーを簡単に理解できるようにも注力しています。YouTube では、新しい
ポリシーの実施前に、審査担当者全員がトレーニングを受けるので、国や言語に関係なく、適用するポリシーを一貫して実行できます。
YouTube は、すべてのポリシーが理論上だけでなく、実際に機能することも確認しています。新しいポリシーの導入前に、審査担当者がガイドラインに基づき、コンテンツを高精度で評価できる
ように確認しています。そして、もし適切に評価できない場合には、ガイドラインを再度確認します。これは、変更を急いで導入するのでなく、コンテンツが一貫して、正しく評価されることを大切にしているからです。
現在、ハラスメントに関する ポリシーのガイドラインを更新しているので、こちらも策定次第ご案内します。すべてのポリシーの更新と同様、YouTube コミュニティにとって大切な問題に対処できるようにクリエイターの皆さんとの意見交換を行っていきます。
また、米国連邦取引委員会(FTC)とニューヨーク司法長官が提起した COPPA に基づく懸念に
関する和解の一環として、YouTube では子供向けコンテンツに関するデータの取り扱い方法を変更します。
子供向けに制作されたコンテンツを識別するために、新しく視聴者層の設定を導入しました。
クリエイターは、すべての動画について子供向けかどうかを申告する必要があります。コメント機能やパーソナライズ広告の掲載などの一部機能は、これらのコンテンツでは利用できなくなります。これらの変更が、クリエイターの皆さんに影響を与えることや多くの課題があることについて、私達も認識しています。こちらの変更に関しては、今後も引き続き最新情報をご案内します。変更についての詳細は、こちらをご覧ください。
最後に、ニュージーランドのジャシンダ アーダーン首相やワシントン D.C や欧州など世界各国の議員や立法担当者と話す中で得た私の考えをお伝えします。どの方との会話でも、クリエイターの経済活動や世界中の仕事に貢献している事実、そして規制がクリエイターのビジネスに及ぼす影響について、人々に理解してもらう取り組みを続けることの必要性は明らかでした。
昨年、私はEUの著作権指令第 17 条(旧第 13 条)が、クリエイターの皆さんに想定外の影響を及ぼす可能性があることについて投稿しました。この立法は、クリエイターの皆さんのご協力のおかげで改善することができました。特に、サービス提供者が、著作物を照合するために権利者との間で最善の努力を払った場合には免責されることを確保できたことは重要な点です。この変更は大きな違いであり、著作権指令は、インターネットと YouTube にとってより良い方向に変わりました。今後、著作権指令を国内法に反映することは、欧州諸国に委ねられることとなります。法改正手続きの進行に併せて、YouTube は政府当局と会う際に、現地のクリエイターを招いて、第 17 条がクリエイターに及ぼす影響を立法者に説明することを助けてもらっています。
第 17 条は私たち全員の問題です。YouTubeは、責任ある著作権改正を提唱していくとともに、引き続き、みなさまへの情報共有を続けます。2020 年に新しい法律の初期草案が公開されることを期待していますが、各 EU 加盟国が第 17 条を実施するまで数年はかかると思われます。
最後にご紹介するのは、クリエイターが世界中にあたえることのできる影響力についてです。多くのクリエイターが、Mr. Beast と Mark Rober の #teamtrees チャレンジに刺激を受け、2020 年 1 月までに 2,000 万本の植樹することに参加しています。先月、私もこのチャレンジに参加し、Mark と一緒に木を植えることができて光栄でした。
皆さんの素晴らしい作品をみるのが私の励みになっています。今後ともよろしくお願いいたします。
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